私の庭に存在するものたちvol.3

Kyoko Wainai × Fuyumi Matsumoto
2020年7月18日(土) ~ 8月11日(火) 12:00~19:00 (水・木・金・定休日)

この期間にご紹介するのは、「私の庭に存在するものたち」シリーズ vol.3 です。私の友人でもある和井内京子さんと彼女の友人のアーティスト松本冬美さん。和井内京子さん曰く二人の賞味期限の切れた未亡人展です。二人は自分の制作アトリアを秋田と長野にそれぞれに構え、日々のものづくりの環境がそこにあります。新型コロナ感染拡大で予定していた日程から一ヶ月ずれ込む今回の企画展示ですが、リモートワークがあたり前になってきた新しい生活様式で、東京・秋田・長野と遠さを感じる事なく今回の企画は進みました。二人のアーティストのコラボレーション企画もあります。つくるというパワーに満ち溢れた二人の新しいものづくりをご覧になって下さい。今回の展示をオンラインショップという形でもご購入できます。そして展示企画にあたり、ちょうど日本が緊急事態宣言前の世界が感染拡大で騒然とした時に和井内さんがパセリセージに寄せてくれたメッセージです。

パセリセージ三上星美

二人の賞味期限の切れた未亡人展
TWO WIDOWS / LIFE IN COUNTRYSIDE

ロンドンの暮らしをひとまず終結させて
秋田県美郷町に移動。
そんなこんなのドタバタの真っ只中に
地球は本気で大変なことになった。
最後に英国から戻ったのは2月17日。
まさかのドンピシャのタイミングで秋田に戻った。
動物の感なのか?やばいところから逃れて暮らすべき場所にたどり着いた。

大切なパリ、ミラノ、ロンドンの仲間たちから連絡。
本当にづんづんと忍び寄ってくるウイルスの波。
なんでこんな都会にいるのか?と忙しい日々には口に出なかった不安。
当たり前に思っていた安心を求めて
もう一度本当に必要な暮らしの形を見直す大切な時間になった。

ふと私たちの暮らしに目をやった。
冬美さんは長野の東御市。
私は秋田の美郷町。
隣が近くない私たちの暮らし。
私のアパートも彼女のスタジオも淀んだ空気が溜まる場所はない。
そして、ものを想像して作り出す作業以外に暮らしの基準はない。
遮るものはない。
二人とも暮らしの基本にあったパートナーを失ったことは事実で。
その環境や暮らし方を維持して一人で黙々と作業をしている。
それを少し憂いながらもそのパートナーの残り香で生きてる。
それの暮らしも10年と少し経った。
作品に優しい時間が盛り込めるような暮らし。
冬美さんの作品は彼女の暮らしぶりそのままで優しい時間が流れている。
そしてだから愛しい。

私たちの田舎暮らしの庭はありがたい空気の中にある。
ゆっくりと眺めていられる景色がある。
音楽がかかっていなくても想像の中で実は響いている音楽がある。
人間のエゴのない環境に静かで穏やかで力強い自然のパワーがみなぎる。

最後に。
この二人が何をかを作り出そうとするきっかけをくれた
天国にいる私たちのエンジェル林久美子さんにたくさんの感謝を込めて。

Kyoko Wainai

●洗剤を使わず鍋などを水で洗い流すエコグッズ藁のタワシ (和井内京子)
●銀彩陶の小さな家ブローチ (松本冬美)
●瓶などを入れて使う藁のギフト袋 (和井内京子)

和井内京子　Kyoko Wainai
横浜市出身。桑沢デザイン研究所卒。日本でバッグデザイナーとしてそのキャリアをスタート、活動拠点を海外に移した後は、内外問わず様々な企業やデザイナーとのコラボレーションを通じ、バッグを主軸にファッション小物やインテリア・オブジェなどを制作。現在はブータン王立タラヤナ財団クリエイティブアドバイザーなど続けながら、ロンドンのスタジオを母方のルーツ秋田美郷町に移し、町の伝統工芸品を世界の暮らしに伝えるためのデザインラボを始めた。