お雛さまを見ながら季節を感じ、そして暮らしを彩る室礼を愉しむ静かな時。
上質な生活提案 column1 祖母の時代からのお雛様
今年、ずっと木箱の中に眠っていたお雛様を飾りました。 このお雛様は祖母の時代からのものらしく、明治、大正、昭和、 とひな祭りには飾っていた雛人形です。私の子供の頃、毎年 飾っていた雛人形なのですが、小学生の頃の私は、お友達の お家の雛飾りを見ては、その頃の主流が 5 段飾り、7 段飾り だったこともあり、うちの雛人形は、なんか古くさくて地味 だなぁと思ったものでした。明治時代からの雛飾りは、男雛 女雛そして三人官女までしかなくて、古い時代のものなので 色も褪せ、とても慎ましいものでした。子供の頃の私は、こ の雛人形の良さがちっともわからずでした。同じく昭和の頃 に購入した雛人形を、いつの間にかこちらばかりを飾るよう になって、木箱の中の雛人形は、結局平成の年号の時には一 度も飾ることなく木箱に入ったままの状態で、昨年の 2 月に 母と妹が引越しする事で、ずっとしまい込んで忘れていた雛 人形の木箱が押入れの奥から出てきて、私がこの懐かしい 古い雛人形を受継ぐことになりました。
そして令和の時代になり、久々に箱から出して飾ることに なったのです。ずっと出してなかったので、もしかすると傷 んでるかもと思いつつ、ドキドキしながら箱から出してみた ら、変わらず色褪せたあの頃見ていたままの状態で出てきま した。やはり箱から出すと子供の頃の雛祭りの思い出が蘇っ てきます。5 段飾りや 7 段飾りに憧れてた私は、今思うと笑 えるのですが、子供なりに少しでも立派な飾りにしたくて、 雛人形のそばに自分の大きなお人形やぬいぐるみと妹の人形 達も横に置いて、たくさん飾ったものです。そして雛祭りは、 ちらし寿司と蛤の潮汁、雛あられ、菱餅と食べた思い出がよ みがえってきました。日本の行事を楽しむことって、とても 贅沢なことだなぁと思うのです。この年齢になって祖母の時 代からの古いお雛様や昭和の時代のお雛様と大切にしたいと 心から思うよになりました。継承していく事の大切さ、そし て日本の季節の行事を大切にしたいと思うようになり、今パ セリセージの空間にこのお雛様たちを飾っています。忙しい と忘れがちな季節の行事を暮らしの中に何気なく取り入れて、 パセリセージでは、心がちょっとだけ贅沢になるような上質 な生活提案をしていきたいと考えています。
パセリセージ 三上星美
明治、大正、昭和、平成、令和と時代を経たお雛様
子供の頃、この季節に床の間にかざっていた梅と鶯の掛け軸
パセリセージの枝垂れ梅は 2 月中旬に満開になります。 庭先の梅はピンクの濃い色合いで一番初めに春を感じ る植物です。写真のお雛様は昭和の物で比較的新しく、 とくにお道具が愛らしくて一つ一つ手にして飾ってい くことが私の愉しみでもあります。仕事に追われお雛 様を飾らずの年もあったのですが、季節の行事と暮ら しの文化を大切に過ごすことはパセリセージの上質な 生活提案の一つです。