アンティークベークライトと現代の大人のアクセサリー

2019年8月17日(土)〜  12:00~19:00 (水・木・金・定休日)

パセリセージでは、ビンテージベークライトとベークライト風に仕上げたオリジナル樹脂のアクセサリーを 中心に紹介いたします。若い時には似合わないと思ってたビッグサイズのリングや大振りのバングルは、何故 か年齢を重ねるごとに似合ってくるものなんです。あまり大振りのアクセサリーに慣れてない方は、カラダ のフィット感と身につけるその日の自分の直感を大切にするとピッタリ・シックリいくので試してみて下さい。

ベークライト風に仕上げた樹脂と木の組合せにレザーを合わせた新企画のネックレス

ベークライト風樹脂ネックレス ¥48,000税別 オンラインショップでも購入いただけます

 

ベークライト風樹脂ブローチ ¥8,000税別 オンラインショップでも購入いただけます

parsleysage 三上星美のコラム #1
私がつくるベークライト風の樹脂パーツ

私がレジン(樹脂)という素材でベークライト風にパーツをつくり始めたのは 4 年くらい前です。ベークライト素材のような質感の材料がほし いけど、どこにも売ってないというひとつの理由からでした。本当に自分で作れるかもわからず、ましてやどのような方法でつくるのかも手 探りでした。そのベークライト素材の名前を知ったのは Bon Magique と Necklace-necklace のオーナーでありデザイナーの友人白井多恵 子さんから Necklace-necklaceのお店で保有しているベークライトジュエリーのコレクションの一つを譲って頂いたことだったのです。ベーク ライトのパーツでできたとてもお茶目な人形のネックレスだったのですが可愛いのに何故か大人しか似合わないものだなと感じるアクセサ リーでした。じつは私が 素材の名前を知らずに昔から好きで集めていたインテリア小物がベークライト素材の物が多くて自分でもビックリし たのです。過去においてベークライトは生活用品やジュエリー・アクセサリーと様々な商品に使用されてました。私にとってジュエリーの括り でベークライトがこんなにも魅力的な物が多いのを教えてくれたのは白井さんのコレクションでした。こっくりとした色合い、重厚感に惹かれ 集めていたこのベークライト、素材自体アクセサリーとして今は流通してないのが、よりアクセサリーのアイテムを集める事に拍車を掛けました。 ベークライトはプラスチックが生まれる前の素材で 1907 年に商標登録されたフェノール樹脂で 1910 年 ~1930 年代の頃のものが特に優れて いてベークライトの最盛期は 1920 年~1930 年代なんです。1950 年代以降はプラスチックが出まわると次第に生産量が少なくなり 1960 年頃には製造がなくなってしまいました。そんなベークライトの素材感を現在流通している樹脂を使って作れないかと思い、自宅アトリエ でつくりはじめたのです。只、流通している手頃にできるアクセサリー用レジン(樹脂)やフィギアを作る樹脂だと自分が思うような仕上が りにはほど遠く、意を決して工業用の一斗缶樹脂を購入し、よりベークライトみたいな素材感を目指して本格的に手探りでつくりはじめたわけ なのです。海外の You Tube の投稿を見よう見まねで毎日実験をするように制作に励み、寒い冬の日などは部屋中に匂いがこもるので窓全開で 作業する日々でした。樹脂に顔料を混色してベークライトのような色合いにして、型に流し込み出来上がった物を削り、また羽布掛けをして、また 磨きをかけるという何段階も手仕事を積み重ね、ベークライトに似た素材感をつくりあげ、ひとつのパーツをつくることからはじまったのです。 この何通りもの手仕事が他で真似できないであろうベークライトのような風合いに仕上がっていきました。樹脂を型から出した時は少しベ タつきがあり、それを取り除く作業も時間がかかるので素材の第一段階の物が山のように手元にあり、その中から形を選んでデザインを組み 立て磨き作業にかかります。最近では木と樹脂をくみ合わせてつくり、少し素材として広がりをもつようになりました。しかし、木との組合せ は削りだしもあり、ますます手はかかるいっぽうで自分一人では限界もありパートナーに手伝ってもらいながら形にしています。ベークライ トのような素材感に出来上がる迄、初めの頃は失敗作もたくさんあって、どうしたものかと頭を抱えた時期もあったのですが、素材を試行錯 誤しながらいじっていくうちに形になるもので、ブローチやバングル、ネックレスといろいろとつくれるようになってました。これが私がつくるベー クライト風樹脂アクセサリーたちの出来上がっていく変容のプロセスなのです。時間と手間がかかる分、一つのパーツがとても愛おしくなっ てます。そのオリジナルのパーツを組み合わせて新しいものづくりをはじめました。今、制作しているものは自分世代に、洋服のポイントにな る少し大振りのアクセサリーです。自分が年齢を重ねていくと似合うアクセサリーも変化していくことが40代で感じ、50代になると着るお洋服が、形、 色、気がついたらいつも同じパターンになっていて、そこに楽なことがプラスされ、そういったものをついつい選んでしまう。全体がボケてど んよりしてオシャレに見えないなぁと感じる年代に突入しはじめたように感じてました。こんな時には自分を引立たせるアクセサリーが大 きなポイントで、自分世代が似合うアクセサリーを作ろうと思ったのです。私は今年 60 代になり一年前から髪の毛を染めるのをやめました。よ り自 然 体 で あ り た い と 思 う グ レ イ ヘ ア 世 代 に 突 入ですね 。しかしグレイヘアも何もしなければそれはそれで急に老いたように見えるし、やはり自分 の年齢にあったオシャレをすることは女性にとって永遠なのかもしれません。私は何故か 50 代に入った時より今の方が年齢を重ねることに少しワ クワク感があります。若い時とは違うエネルギーが沸き上がってくる感覚で、たぶん今迄身につけても似合わないと思っていた熟年の大人のア クセサリーが逆に魅力的に装える年代になってきたからだと思うからなのです。同世代やこれから迎える熟年世代の女性達が身につけて輝き、 そして気持ちがアップするオシャレの手助けをするものを企画制作したいと素材からつくり、大人のアクセサリーになってくれたらと考えてます。不 思 議なことで若い時は線の細いものが似合うものですが年齢を重ねていくと今迄大きすぎると思っていたサイズ感や色合いがむしろ自分のマ イナス部分を引立たせてくれるものにと時間が変化させてくれて、それが一番輝く時期に達したように感じます。大振りであっても重量感 がなく、それでいて重厚で温かくこっくりとした色合いを出せることが自分で作る素材のこだわるところです。アンティークのベークライトの出 会いから現代の大人のアクセサリーとしてこのオリジナルベークライト風の樹脂パーツ制作に繋がってるの でした。

パセリセージ 三上星美